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NPO法人こどもと文化協議会・プラッツ/立川キッズの紹介

 人と自然が調和した、明るく夢のある社会づくりをしていきたい。自分たちに出来ることは何かを考えた時、今いろいろな意味できぴしい環境におかれている、子供たちのために何かできるのではないかという意見がまとまり、私たち立川キッズの活動が少しづつはじまりました。
 現在は、新たに「NPO法人こどもと文化協議会・プラッツ」として、さらに活動を発展させております。

 様々なメディアが発達した現在の日本の社会では、ありとあらゆる情報がメディアを通して、特に視覚と聴覚に飛ぴ込んできます。本来、五感をフルに使っての体験学習を積み重ねるべき成長期の子供たちにとって、実体験でなく仮想体験という、たいへん偏った情報があふれています。そして点数社会では、一方的な狭いものの見方や考え方を助長してしまいがちですが、子供たち自身がそれに気づいて改革していくことは、なかなか出来ません。

 立川キッズは、子ども自らが全身で感じたことを自主的に表現するということを実際に体験できる場を提供しようとしてきました。しかし日常的にはこれが意外と難しく、どうしても人の目を気にしてしまいがちな都会の子どもたちの心を解放してあげなくてはなりません。

 現在行っている「あそぴの教室」では、目隠しをして森の中を歩き、普段意識しない全身の感覚を呼ぴ起こすための自然に触れて感じる導入のゲームと、引き続き感じたことを絵に描く表現のアートワークを行い、そのわずかな時間のなかでも輝いてくる子どもたちに手ごたえを感じています。

 また「あそぴの教室」では、一回に10〜20人の子どもたちに、スタッフができるだけマンツーマンで付いていっしよに行動します。子どもが安心してスタッフに身をゆだねられるよう、子どもたちのペースにあわせて、急がせたり規制しないようにしています。(動植物を傷めたり他人にめいわくになるようなこと、危険なことは注意します。)子どもたちが自主的に感性で表現することを少しづつ手助けし、想像性・創造性・自主性を育めるようにします。

 「あそぴの教室」では、子どもの個々の感性や自主性を引き出すため、保護者の方には少しの間、離れていただいております。ほめすぎず、けなさず、他と比較せず、子どもが今実際に自分自身が感じ行っていることを「楽しい」と思えることが大切だと考えております。ほんの少しの時間ですが、その子にとって忘れられない実体験となってほしい。実体験で得たものは感覚の記億ともなり、自分だけでなく人の感覚や命の大切さを知ることにもつながるでしょう。
 また「夢プラン」という国営公園主催のコンペに参加したり、「プレイバス・あそびの王国」や「地下道壁画製作プロジェクト」など、小〜中規模のイベントを開催しております。イベントにおいては、全体的に夢のある世界をつくり、子どもたちや家族が楽しめて、心に残るものを心がけ、一度参加したことでその後もその場所に行ってみたくなる、その場所をふしぎと好きになってしまうようなイベントを行いたいと考えております。

 こうした活動を評価していただき、平成9年にコカ・コーラ環境教育賞(コカ・コーラ環境教育財団主催)、また平成13年にコカ・コーラ環境教育賞発展賞を受賞させていただきました。
 立川キッズは、非営利の任意団体で専従者はなく、全員がボランティアという形態で活動しております。現在NPO法人(特定非営利活動法人)の設立の準備をしています。今後もスタッフの充実を計りながら、子どもたちと共にすぱらしい未来を創っていけるよう、努力を借しまず活動を続けていきたいと思います。

子どもたちの生活環境を考えよう

 今の子どもたちは、テレビ、雑誌、ゲーム、パソコンなど多くのメディアに囲まれた生活をしています。実際には体験困難なことや、身近では見ることのできないモノなどを、画像、映像や音声によって学習できる現代のメディアは、大変便利です。(現にこうしてインターネットを使ってますし.....)
 しかし、こうしたメディア情報に慣れてしまった私たちは、実際に自分の身体で感じるという基本的な感覚を忘れがちではないでしょうか。

 メディアによる情報は年々質が高くなり、バーチャルリアリティー(仮想現実性)などと言われるように、より実際の体験に近い状態へと研究が進んでいるようですが、これを実際の体験にとって代わるものとするのは問題だと思います。

 人間のからだが感じ取る情報の量は計り知れず、メディア情報の遠く及ばないものですし、五感からの情報は常に同時に入力され、しかも互いに複雑に関連して存在するものです。メディア情報、例えばテレビの情報では画像と音声、つまり視覚情報と聴覚情報が提供されますが、触覚、嗅覚、味覚などは伝えられません。その分は人の想像力によって補うことになります。

 今の子どもたちは生まれつきメディアに囲まれた生活をしてきています。家庭・学校・塾という日常生活で多くを占める場所で、どれくらい新しい実体験をしているでしょうか。自分の身体で、五感をフルに使って感じることは、自分以外の人、生き物、モノなどがどのように感じたり変化したりすることを知るための大切な「基礎」であり、これがなければメディア情報の不足を補う想像力も生まれてきません。
 基礎としての実体験の不足は、偏った情報による世界と、現実との区別をつきにくくするのではないでしょうか。ゲームや映像の中の痛みのない世界と、現実との区別が十分に認識できないのではないでしょうか。

 また最近のテレビ番組では、出演者の言葉や音までも文字にして画面に出すことが多く、まるでマンガの本のように、内容に応じて文字の出し方も工夫されています。ただでさえ視覚と聴覚のみの情報なのに、「聴く」という必要性を弱めるのではないでしょうか。ここは笑うところ、ここは驚くところと、ただ一つの感じ方を視聴者に強要する方法でもあり、疑問を感じます。(聴覚障害者に対してでも、感じ方を強要する方法は好ましくありません。)

ネイチャーゲームをしよう

 ネイチャーゲームは、1979年米国のナチュラリスト・ジョセフコーネル氏の提唱による、五感を使って自然を直接体験する環境教育プログラムです。ネイチャーゲームにより、自然に関する特別な知識がなくても、自分の感覚で自然を楽しみながら、その素晴らしさに感動し、自然への理解と体験と豊かな感性を得ることができます。

 立川キッズ・あそびの教室では、子どもたちの普段意識しない、実際に五感で「感じる」ことを呼び起こすためにネイチャーゲームなどを参考にした独自のプログラムを取り入れています。体で自然のものなどを感じ、すぐに自由に絵に描くという独自の方法を行っています。子どもたちは、何もせずにいきなり自由に絵を描こうというと、キャラクターやマンガなどメディアの影響による絵を描きがちですが、こうした実体験の後では、森の絵や抽象的なものを描き、キャラクターなどを描くことは少なくなります。

 あそびの教室でよく行っているプログラム「ネイチャー&アート」は、子どもに目隠しをして、スタッフが手をつないで公園の中を歩き、視覚以外の感覚を使って自然を感じる探検を行い、戻ってきたらすぐに絵を描きます。大人もときどきやってみると意外な感じ方を発見しますので、誰かと組んでやってみてください。絵は森の絵でなくても、何でもいいのです。抽象的な絵を描いたり、絵の具で塗ることが楽しくなったりする子もいます。どの子もとても集中するので、静かな時間になります。


子どもの感覚、子どものペースで「実体験」を

 ともすると大人中心の生活に追われてしまう私たちですが、子どもの社会は決して別のところにあるものではありません。大人の都合や考えを子どもに強要するのでなく、互いに分かり合うことも大切ではないでしょうか。

 遊びの教室では、保護者の方には離れていただき、スタッフと子どもができるだけマンツーマンで進めていきます。たいていの親(特にお母さん)は、近くにいると子どもに指示を出してしまいがちです。子どもたちも親がいるとほめられるための行動をしがちです。「早くしなさい」「汚れるでしょ!」「筆を洗いなさい」「おひさまは赤でしょ!」等々......そうすると子どもも集中せず親の指示で描こうとしますから、すぐに飽きてしまいます。

 あそびの教室では、子どもの絵に完成度を求めません。プロセスこそが大切であり、絵を描く行為そのものの楽しさ、泥んこ遊びのように思いっきり発散する対象として、絵の具をまぜたり、塗りたくったり、何かを描こうとして必死になったりすることが、子どもたちの実体験として強く刻み込まれることで、ひとりひとりが独自の想像性創造性を磨いていけると考えています。

 子どもたちのこうした行為をスタッフが個々のペースに合わせてフォローしますが、小さな子でも集中すると自然に自主性が強く出てきます。それまで自分で片づけることができなかった子が、自分で絵の具を出したり、パレットや筆を洗ったりできて驚いたという父兄の声を何度も聞きました。

 はじめは親に甘えていたり、人見知りしていた子が、終りにはすっかりなじんで「帰りたくなーい」という場面もたびたびです。
 自然の力とその中での簡単な遊びで、心身を解放させ、本来の感覚を呼び起こすことが可能なことを、子どもたちは目の前で教えてくれます。



 「あそびの教室」では、布地にアクリル絵の具で絵を描いています。布は適当な大きさに切り裂いて使っていますのでサイズはバラバラです。A4とかB3とかの規格サイズのきれいにカットされた紙でなく、いいかげんなサイズの柔らかな布を使うことは、型にはまらないで自由な気持ちで絵を描けるようにする意味もありますし、畳んで持ち帰れるので便利です。

 また、布に水彩絵の具で描きますから、にじんだり、はじいたり、裏にぬけたり、紙に描くのとはちょっと違った感触があってこれもおもしろいです。アクリル絵の具を使うのは、発色がいいこと、乾きが速くいったん乾くと濡れても溶けないので出来た作品を扱いやすい、などの理由ですが、逆に衣服につくととれないので、作業着としてスモックを着せています。子どもたちもみんな同じ服になることで気持ちも集中しやすいようです。

 なるべく汚れてもいい服で来てください。十分に高まった感性を布の上に思いっきりぶつけられるよう、スタッフが少しだけ言葉をかけます。子どもたちの絵は目的や欲のない、まるで砂場で遊ぶようなプロセスのなかで輝いてきます。最後に大人に見せたときは、もうすでに何だか分からないようなものになっていることもしばしばですが、本人は全く満足して誇らしげにすら見えるのです。

(NPO法人こどもと文化協議会・プラッツ、ほんごう)記

home  更新日:2008.1.30